WeatherCock Vol.3
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冬型が強まると日本海沿岸に筋状の雲が発生する。この筋状の雲はシベリア高気圧の移流、気団の変質が原因で発生する。以下にその発生メカニズムを説明する。
大陸や海洋のように、水平の広がりが1000km以上にわたって一様である地域に、大気が長期間停滞すると、特有な性質をもった空気の固まりができる。これを気団という。冬期のシベリア地域の大気最下層は、地表の強い放射冷却により低温で乾燥している。これがシベリア気団の発源地の状態である。
さらに下降気流によって厚い逆転層*1が形成され、安定した成層をもったシベリア気団(高気圧)が形成される。日本付近を通過する低気圧が北西太平洋などで発達すると、この高気圧との間に強い気圧傾度が生じ、気団は冬の北西季節風に流され、日本海上を吹き渡る。このとき、気団は日本海で水蒸気と顕熱を補給し、気団下層は不安定になる。十分に不安定になると対流が発生し、筋状の雲が形成される(写真1、2)。
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<1993 「ひまわり」で見る四季の気象 より> |
前節の筋状の雲の発生メカニズムを実験によって確かめるためる。
段ボール(トイレットペーパーの箱が好ましい)、バット(ドライアイスの煙が見えるように下に黒いものを敷くとよい。段ボールを底に沈ませるとよく見えた)、カップ麺の容器、ドライアイス、湯。
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<1994 気象の教え方学び方 気象の教室6 より> |
写真3 煙の量が多く対流が見られない。 |
写真4 煙の量が適当になり、筋が見られるようになる。 |
写真5 再び煙の量が多くなり(一度煙を貯めたため)筋が消える。 |
写真6 きれいな筋が5〜6本見られる。 |
写真7 煙の量が少なくなり次第に消える。 |
写真8 筋はほとんど見られなくなる。 |
以上のことから温度や空気の移流量によって筋状の雲の形成過程が変化することが分かる。また、この煙を下流から観測すると、図6のような対流が起きていることが確認でき、全体から見るとこの対流はロール状をしていることがわかった。
実際に、写真1、2のような筋状の雲は図6のような形で対流しながら移流をしているため、ロール状の雲を形成している。
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対流のパターンは上昇流の下にアルミ粉が集まってできた縞模様を見ることができる。 |
気象の教え方学び方 気象教室6 |
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一般気象学 |
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「ひまわり」で見る四季の気象 |
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気象の事典 |
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図解 気象の大百科 |
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