食中毒〜ぅ!?

食とは

天文でいう「食」とは、ある天体が他の天体の一部または全部を隠す現象をいいます。食にはこれからあげる月食、日食、星食、連星食などがあります。今回はそれら“食”を写真と合わせて取り上げていきたいと思います。


月食

地球に一番身近な天体といえば月です。

その月が地球の陰にはいるときに起こる現象が月食です(図1)。月食は満月の時に起こる現象ですが、ご存じのように毎月起こることはありません。

図1 月食

ではなぜ毎月起こらないのでしょうか?それは、図2に示すように月の軌道面(白道面)が地球の軌道面(黄道面)に対して5°傾いているからです。

図2 日食・月食が起こらないとき
図3 日食・月食が起こるとき

月食いろいろ

“月食”といって、まずはじめに思い出すのは“皆既月食”でしょう(たぶん)。皆既月食は図1に示す、地球の陰、“本影”という部分で起こります。この本影は月のおよそ3倍ほどの大きさがあると言われています。もし、この本影から月が部分的にはみ出してしまいますと、“部分月食”という月食を見ることができます。本影を完全にはみ出してしまうと月食は無い・・・と思われるでしょう。でも、ご安心を(笑)。本影の周りには半影という部分があり(図1)、だいたい月と同じ大きさであるため、半影部にすっぽり覆われる月食を“半影皆既月食”と呼びます。そして、もう分かったかと思いますが、半影部から部分的にはずれる食を“半影部分月食(半影月食)”とよびます。

月食と一言でいっても4つの種類があるのです。


日食

さて、次に身近な天体といえば太陽でしょう。太陽が月によって隠される現象を日食といいます。日食は月が新月の時に起きる現象ですが、月食の時に説明したとおり、月の軌道面が地球の軌道面に対して5°の傾きがあるため、これもまた毎月起こることはありません(図2、図3)。

 

日食いろいろ

日食は大きく3つの種類に分けられます。一つは、完全に隠されてしまう“皆既日食”とリング状に欠ける“金環日食”、そして、部分的に欠ける“部分日食”です。

 

皆既日食

月が太陽と見かけ上同じ大きさになる位置で日食が起こると、太陽が完全に隠されてしまう“皆既日食”が起こります(図4)。皆既日食の見られる場所は、月の本影部分が地球にあたる場所で、本影からちょっとでもはみ出してしまうと、部分日食になってしまいます。

図4皆既日食

金環日食

皆既日食の時は、月が太陽と見かけ上同じ大きさで起こる現象でしたが、月は楕円軌道を描いているため、見かけの大きさが太陽よりも小さくなることがあります。そのときに日食が起こると太陽は完全には月に隠されることはなく、リング状の日食、“金環日食”となります。月だけではなく、水星や金星(内惑星)によって起こる“日面通過”という現象も、実は“金環日食”と呼ばれます。

図5金環日食


星食と接食

先ほどまでは、身近で(?)よく知られている“食”を紹介しましたが、ここから先は“食中毒”な世界へと入っていきます(笑)

はじめは月が関係する食です。といっても、月食ではなく、月がほかの天体を隠す現象です。しつこいですが、日食でもありません。月が隠すものは太陽のほかにもあります。それは惑星や恒星です(^^)。月が完全に星を隠してしまう現象を星食と呼び、月の縁ギリギリをかすめる現象を接食と呼びます(図6)。これらを観測すると、月の縁の様子が分かります。<詳しいことは天文年鑑を見てね>

図6星食・接食


小惑星による食

惑星や恒星は月だけでなく、小惑星によって隠されることもあります。小惑星による食は掩蔽(あとで説明します)と呼ばれることもあります。

これを観測することで、小惑星の大きさを知ることができます。

<詳しいことは天文年鑑を見てね>


惑星による食

小惑星によって恒星が隠されるなら、惑星によっても隠されるのではと思った方がいると思います。惑星も動いている星なので、恒星を隠すことがあるでしょう。でも、私が知っている限り、今まで見たこともないし、聴いたこともないです(情報不足?)。と言いながら、毎晩のように食を起こし、起こされている惑星を1つだけ知っていたりします(笑)。それは木星です。木星を望遠鏡で見ると、有名なガリレオ衛星を見ることができます。ガリレオ衛星は木星の周りを回っているため、木星面を通過したり、木星の陰に入ったりします。実はこの木星、、1粒で4つもの興味深い食を味わうことのできる天体だったりします(^^)<詳しいことは天文年鑑を見てね>


食連星(食変光星)

2つの星が互いの周りを公転し、その時、互いに相手を隠す(食)ことによって見かけの明るさを変化させる連星・・・それが食連星(食変光星)です。食変光星を観測することによってその星の質量や大きさが分かります。

<詳しいことは天文年鑑を見てね>


掩蔽・・・読めますか?

“掩蔽”読めましたか?これは“えんぺい”と読みます。広辞苑で掩蔽と引くと「1.おおいかくすこと。さえぎりおおうこと。2.月など天球上を動く天体が恒星や惑星の前面を通り過ぎる際、その天体が星をおおいかくす現象。星食。」と出てきます。もう、そのままズバリ答えられてしまっているので、何も言うことがないです・・・(TT)。

無駄知識ですが、月食だけが地球が月を隠す現象ですので、掩蔽では無いことが分かったりします・・・(地球以外の星から見れば地球による掩蔽になる)。